北里大学獣医学部 3

2017年1月10日

 北里大学獣医学部の学校紹介第3弾は、前回に引き続き、農業や畜産の振興に向け、十和田市と連携して取り組んでいる研究事業について紹介します。

 今回は、『イネソフトグレインサイレージ(以下、イネSGS)の取り組み』です。

イネSGSについて

 イネSGSとは、飼料用のモミ米を乾燥させずに破砕し、フレコンバッグなどに密閉しサイレージ(発酵飼料)化したものです。

 牛の餌には、(A)青草や稲わらなどの粗飼料、(B)トウモロコシや大豆などの穀類や大豆カスなどの配合飼料を用います。イネSGSは、この中の配合飼料の一部として、生育状況や体重に応じ、給与した際の肉質・繁殖成績の向上・飼料コストの低減等が期待され、研究が行われています。

 この背景には、輸入穀物の高騰や国の減反政策、米価下落により、イネSGSの原料となる飼料用米の作付面積が拡大したことが挙げられます。

 十和田市においても平成24年から平成27年の4年間で、作付面積は約3倍(235ha⇒686ha)となっています。

連携事業

 十和田市と北里大学ではこれまで、「十和田湖和牛」枝肉の上物率を向上させるため、生産システムの確立に取り組んできましたが、この取り組みに加え、平成24年度から、(1)イネSGS調製及び保存方法の確立、平成25年度から(2)イネSGS給与牛の飼養管理技術の取り組みを行い、畜産農家の飼料自給率向上と生産コスト削減を図っています。

 (1)研究室:獣医学部動物資源科学科栄養生理学研究室(東善行教授)

 (2)研究室:獣医学部獣医学科大動物臨床学研究室(渡辺大作教授)

 

 また、この事業には、県(上北地域県民局)、市内の畜産農家とが連携し、“産学官連携事業”として取り組みを行い、高いレベルでの調査が実施されています。

調査内容

(1)イネSGS調製に係る技術を確立するため、調製したサイレージの長期保存に伴う発酵品質及び成分含量への影響を明らかにするための調査を実施しています。

(2)イネSGS給与により繁殖牛と子牛の育成に及ぼす影響として、繁殖成績の聞き取りと給与飼料と栄養分析、母牛と子牛の代謝プロファイルテストを実施しています。

(市販配合飼料とSGSを混ぜて給与)

 

(子牛の採血の様子)

研究室より

(1)イネSGSの調製及び保存方法の確立

1)飼料用米の水分含量および添加するサイレージ用乳酸菌製剤の検討

  収穫した飼料用米を破砕し、フレコンバッグに詰めながら設定水分含量(30および40%)になるように乳酸菌製

 剤を希釈した水を添加し、約1年間保存し、イネSGSの発酵品質・成分含量の分析を実施しました。

 ○発酵品質について

  イネSGS調製後、保管中に密封状態が維持されると1年間保管しても発酵品質は良好に維持されることが明ら

 かになりました。 

 ○乳酸菌添加について

  イネSGS調製時の乳酸菌添加は有効であるが、フレコンバッグに詰め込み作業において密度を高めるように

 踏圧などを行い、酸素の残存がないように密封することが重要となります。

 

(飼料用米破砕器)

 

2)サイレージ調製後2年間保管したイネSGSの発酵品質および成分含量の検討

  1)の同様の作業を行い、2年間保存し、イネSGSの発酵品質・成分含量の分析を実施しました。

 ○発酵品質について

  イネSGSの保存状態がよくサイレージの発酵品質は良好でした。

 ○成分含量について

  約2年間保存したイネSGSの成分含量において調製時と比較してわずかな変動が見られるが、ほとんど同じ値

 を示しました。

 ○保管方法のポイント

  保管方法のポイントは、ネズミやカラス等の食害を防止することです。保管する場合に、フレコンバッグを載せる

 パレットに高さ15cmのプラスチック製を用いることでネズミの食害を減らすことができます。また、並べたフレコン

 バッグの上にビニールシートを覆うことでカラスの食害を防ぐことができます。

 

(フレコンバッグ内に詰め込まれた飼料用米)

 

(2)イネSGS給与牛の飼養管理技術の取り組み

1)繁殖牛と子牛のイネSGS給与の影響調査

  繁殖成績の聞き取りと給与飼料と栄養分析、母牛と子牛の代謝プロファイルテスト(栄養状態の検査)を6農場で

 実施しました。

 ○繁殖牛について

  繁殖牛へのイネSGS給与は、蛋白質、ミネラル及びビタミン不足に留意してサプリメントを加えれば、繁殖成績に

 大きな問題はないと考えられます。

 ○子牛について

  育成子牛にイネSGSを給与しても、蛋白質とミネラルが補給されていれば発育と栄養状態に問題はありませんで

 した。育成期には4~5kgの配合飼料が給与されますが、市販配合飼料は価格が高いので、その半分程度をイネ

 SGS(市販品の1/3の価格)で代替すれば生産コストを抑制できると思われます。

 

(繁殖農家の検診の様子)

 

2)イネSGS給与の肥育牛調査

  肥育状態、給与飼料調査、代謝プロファイルテストを3農場で実施しました。

 ○肥育牛について

  配合飼料中のイネSGSの配合割合が40%以内で、蛋白質が補充されていれば大きな異常は出ないと思われま

 す。肉の旨みなどへの影響については、今後の調査が必要ですが、イネSGSは配合飼料として十分活用できると

 思われます。

 

(農家での聞き取り調査)

 

次回からは、北里大学獣医学部の学科や学内にある施設を紹介していきます。まずは、獣医学科と動物資源科学科を紹介します。

 

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※本紹介ページは、北里大学獣医学部のパンフレットと大学へのインタビューにより作成しています。

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