令和6年度 施政方針

 令和6年第1回十和田市議会定例会(2月26日開会)において、小山田市長が令和6年度の施政方針を述べました。

 

  • はじめに
  • 国及び当市の現状
  • 令和6年度の主要施策
  • 市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
  • 1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」
  • 2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」
  • 3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」
  • 4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」
  • 5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」
  • 6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」
  • 7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」
  • 8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」
  • 令和6年度の財政見通し並びに予算の概要
  • おわりに

 

※ 施政方針とは

  市長の市政運営に対する基本的な考え方や主要な施策などについて述べたものです。

※ 本文書は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干変更があります。

 

はじめに

 令和6年第1回十和田市議会定例会の開会に当たり、所信の一端並びに市政運営の基本方針を申し述べます。 

 本市は来年度、新市誕生から20周年という節目を迎えます。改めて、礎を築いた先人たちの英知とご尽力に敬意を表するとともに、議員各位をはじめ、市民の皆様からのご支援とご協力を賜りながら、引き続き、多彩な地域資源を活かし、SDGsの理念を踏まえた持続可能な発展を目指し、強い使命感を持って各種施策を積極的に展開してまいる所存でございます。

 また、この記念すべき年に、本市にゆかりのある渋沢栄一翁等を肖像とした新紙幣が発行されることは望外の喜びであり、この歴史的資源を地域活性化のみならず、教育分野や観光分野においても有効に活用するため、市民の皆様との協働により記念事業等に取り組んでまいります。

 

国及び当市の現状

 さて、1月1日に発生し、最大震度7を観測した「能登半島地震」では、多くの尊い命が失われるなど、甚大な被害が報告されております。まずもって亡くなられた方々にご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に喪心よりお見舞い申し上げます。

 本市では、いち早くDMAT(災害医療派遣チーム)や被災家屋調査等を行う応急対策として市の職員を派遣したところであり、今後も要請に応じて、早期復旧に向けた支援に努めてまいりたいと考えております。

 本市を取り巻く情勢に目を向けますと、国際情勢の変化等による物価高騰等が続いており、経済活動はもちろんのこと、市民生活に大きな影響を与えております。一方で、インバウンドを含めた宿泊者数が、コロナ禍以前のおよそ9割まで回復するなど、明るい兆しも見えてきており、まちに活気が戻りつつあります。

 国においては、こども未来戦略方針に沿った次元の異なる少子化対策の実現、また、デジタル田園都市国家構想総合戦略に基づく、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指した取組を進めており、こうした国の動向に注視しながら、市民ニーズを踏まえた取組を迅速かつ確実に進める必要があるものと認識しております。

 このような考えのもと、「第2次十和田市総合計画」に掲げる将来都市像「~わたしたちが創る~希望と活力あふれる 十和田」の実現に向け、令和6年度に重点的に取り組む施策についてご説明いたします。

 

令和6年度の主要施策

 来年度の予算においては、引き続き、人口減少の克服を市の最重点課題と捉えた上で、子育て支援や教育の充実に関する「こども・子育て政策の強化」並びに経済振興、公共施設の強靭化及びデジタル化に関する「地域活力の向上」の大きく2つの施策に重点的に取り組むことといたしました。

 

 まず始めに、「こども・子育て政策の強化」についてです。 

 本年4月に施行される改正児童福祉法等に基づき、子育て世帯に対する包括的な支援に向けた体制を強化するため、健康増進課内の子育て世代親子支援センターを「こども家庭センター」として課に昇格させ、妊娠期、出産期から子育て期までを通じた一体的な支援の更なる充実を図ってまいります。

 また、新たに第3子以降の保育料の無償化や病児・病後児保育事業の利用料の無償化に取り組むほか、生後3か月までの間、乳児用おむつを一定数支給するなど、子育て世帯を支援するための施策を積極的に実施してまいります。

 

 2点目の「地域活力の向上」については、市民が豊かに暮らせるまちを目指し、各種事業に取り組んでまいります。

 具体的に、「経済振興」は、農産物の販路拡大、十和田ブランドの確立、新規就農者の確保及び農家の経営基盤強化を目的としたスマート農業技術導入支援の拡充や、奥入瀬渓流温泉スキー場管理棟の整備に取り組むことで、市の基幹産業である農業及び観光業の振興を図り、経済基盤の強化、地域の活性化につなげてまいります。

 「公共施設の強靭化」は、豪雨・地震等の自然災害への対策に加え、地域で安心して暮らし続けることができるよう道路・橋梁の強靭化に取り組むとともに、交通安全対策として市道前谷地6号線の整備を進めてまいります。

 「デジタル化」は、「DX推進ビジョン」に基づく、市民の利便性向上につながる取組として、書かない窓口やキャッシュレスセルフレジ等の導入を進めてまいります。

 

 以上、重点的に取り組む施策について申し述べましたが、その他の施策につきましては、「第2次十和田市総合計画」に掲げる基本目標に沿ってご説明いたします。 

 

市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」

 まず、基本目標1「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち」に関してであります。

 とわだ産品の販売拡大については、本市の農産物の特徴を活かした商品づくりを支援するとともに、広くバイヤー等を招致した商談機会の創出や首都圏レストランでの料理イベント等を通じて、認知度向上及びブランドイメージの定着を図ってまいります。

 また、健やかな食生活と本市農産物への関心につなげるため、弁当の日の取組を拡充し、高校生や大学生等を対象とした「おいしい十和田自炊塾」を開催します。

 畜産の振興については、肉用牛の主産地づくり推進のため、優良雌子牛の地域内保留を促進するとともに、家畜防疫対策に努めてまいります。

 林業の振興については、森林経営管理制度実施方針に基づく森林整備に向けた意向調査を進めるとともに、森林経営計画に含まれない小規模の森林における植栽を支援することで、再造林を促進してまいります。

 観光力の強化と充実については、一般社団法人十和田奥入瀬観光機構と連携し、効果的なプロモーションや新たな観光メニューの開発等に取り組んでまいります。

 また、十和田湖・奥入瀬渓流地域においては、環境省の推し進める「国立公園における滞在体験の魅力向上先端モデル事業」の選定に向け、地域の協働体制を強化するとともに、国立公園満喫プロジェクト及び奥入瀬ビジョンに基づき、観光客の上質な滞在環境の創出、冬季観光の促進等、自然の魅力を活かした観光地域づくりを進めてまいります。

 十和田市現代美術館では、アートによるまちづくりの一環として、県内に立地する美術館との5館連携の取組を進めてまいります。

 商業の振興及び雇用の安定については、新たに就職活動に要する費用の一部を補助するなど、国、県、関係機関等と連携して、経済活動の維持・促進に取り組んでまいります。

 中心市街地の活性化については、中心市街地活性化基本計画の効果を検証するとともに、引き続き、官民一体となってにぎわいと魅力のある中心市街地づくりに取り組んでまいります。

 

2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」

 次に、基本目標2「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち」に関してであります。

 子どもを産み育てられる環境づくりについては、これまでの子育て支援の成果や国・県の指針等を踏まえ、新たに「第3期子ども・子育て支援事業計画」を策定し、安心して出産・子育てができる切れ目のない支援の更なる充実を図ってまいります。

 学校教育の充実については、児童・生徒の学力向上に向け、AIドリルの導入等により、デジタル化を推進し、個別最適な学びの充実を図ってまいります。また、いじめ・不登校に対する教育相談の充実に加え、特別支援教育支援員の拡充により、児童・生徒へのきめ細やかな対応に努めてまいります。さらに、「とわだ未来プロジェクト」キャリア教育推進事業を通じて、郷土に誇りをもち、夢・希望・志を育む特色ある学校づくりを推進してまいります。

 小・中学校施設及び設備については、新たにちとせ小学校の改築に取り組むほか、経年劣化の状況に応じて改修等を行い、教育環境の充実に努めてまいります。

 

3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」

 次に、基本目標3「すべての市民が健やかに暮らせるまち」に関してであります。

 健康づくりの推進については、各種健診の受診勧奨の取組を強化し、受診率向上に努めるとともに、ヘルスリテラシーを高めるための健康教育等に取り組んでまいります。また、楽しみながら健康づくりに取り組む健康ポイントラリーをデジタル化することで、働き盛り世代の参加を促し、生活習慣病の予防を図ってまいります。さらに、医療用補整具の購入費用の一部助成により、がん患者の精神的・経済的負担の軽減と社会参加の促進に努めてまいります。

 自殺の予防については、生活困窮者等に対する相談を継続するほか、様々な悩みを持つ人に気づき、支援するゲートキーパーの育成に取り組んでまいります。

 病院事業については、青森県地域医療構想を踏まえた「公立病院経営強化プラン」に基づき、地域医療の機能分担及び業務の連携を推進し、医療の質の向上と病院経営の健全化を図るとともに、関連大学や県等への働きかけを強化し、医師の確保に努めてまいります。また、医療・福祉・介護等の連携を進め、地域医療支援病院として、上十三医療圏における効率的な医療提供体制の中心的な役割を果たしてまいります。

 高齢者福祉の充実については、「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、関係機関との連携、協働のもと、高齢者の自立支援と介護予防、要介護状態の重度化防止に取り組んでまいります。

 国民健康保険事業については、「第3期データヘルス計画」に基づき、特定健康診査未受診者対策等の保健事業の充実に努めてまいります。また、後期高齢者医療事業では、フレイル予防対策を推進し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を図ってまいります。

 障がい者福祉の推進については、「第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画」に基づき、保健、医療、福祉、保育、教育等の各分野の連携強化を図ってまいります。

 社会保障の充実については、生活困窮者等の早期自立に繋がるよう、個々の状況に応じた就労支援に努めてまいります。

 

4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」

 次に、基本目標4「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち」に関してであります。

 生涯学習の推進については、幅広い年代における生涯を通じた「学び」を支援するとともに、多様な体験活動を通じて、暮らしの質の向上を図ってまいります。

 また、市民図書館においては、資料の充実はもとより、新たに読書手帳を導入するなど、地域における知の拠点としての役割を果たしてまいります。

 文化の振興については、新たな市史の編さんに取り組むとともに、文化芸術活動の発表・鑑賞機会の充実と、文化遺産の保存・継承及び活用に努めてまいります。

 スポーツ活動の充実については、令和8年度に本県で開催される第80回国民スポーツ大会及び第25回全国障害者スポーツ大会に向け、相撲場、総合体育センター等の整備を進めるほか、市民が暮らしの一部としてスポーツを楽しめる環境の充実を図ってまいります。

 

5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」

 次に、基本目標5「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち」に関してであります。

 防災体制については、防災・減災への取組を通じて、市民の安全と安心を確保してまいります。

 消防団活動については、機能別消防団員制度を導入し、消防団員の確保に努めるとともに、消防屯所や消防団車両等の更新を計画的に進めてまいります。

 安全・安心な暮らしの確保については、市民や関係機関等との協働により事故やけがの予防対策に継続して取り組むとともに、4回目となるセーフコミュニティの認証取得を目指してまいります。また、犯罪の被害に遭われた方が再び安心して暮らすことができるよう、見舞金等の支給による支援に取り組んでまいります。

 広域自治組織の育成については、多様化・複雑化する地域課題に対応するため、広域コミュニティ活動の活性化を図るとともに、新たな小学校区での組織化を進めてまいります。

 移住・定住人口の拡大については、住宅取得や引っ越し等に対する支援に努めるほか、移住コンシェルジュにより情報発信、移住体験や移住者交流会等の取組を強化してまいります。

 出会い・結婚支援については、県や他市町村等と共同で運営するマッチングシステムの活用や圏域での婚活イベントの充実に加え、新婚世帯への経済的支援に継続的に取り組んでまいります。

 空き家対策の推進については、「第2次空家等対策計画」に基づき、空き家等の適正管理、有効活用を促進するほか、解体に対する補助を行うことで、空き家の解消に努めてまいります。

 

6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」

 次に、基本目標6「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち」に関してであります。

 生活環境の充実については、「みどりの管理計画」に基づき、都市公園、保全地区及び街路樹の適切な維持管理に努めてまいります。

 地球温暖化防止対策の推進については、脱炭素に向けた市の方向性を定める「地方公共団体実行計画」の策定に取り組んでまいります。

 ごみ処理の適正化については、「第5次ごみ減量行動計画」に基づき、市民、事業者及び行政が協働でごみ発生の抑制やバイオマスを活用した生ごみの減量等に取り組むことで、循環型社会の形成に努めてまいります。

 

7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」

 次に、基本目標7「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち」に関してであります。

 (仮称)北園団地・瀬戸山団地については、令和6年度の完成を目指して、引き続きPFI事業により工事を進めてまいります。

 公共交通網の整備については、「地域公共交通計画」に基づき、公共交通の利便性向上に取り組むことで、「市民の足」の維持・充実を図ってまいります。

 道路及び橋梁については、「国土強靭化地域計画」に基づき、防災・減災対策に取り組み、適正な維持管理と長寿命化を図ってまいります。また、主要地方道三沢十和田線の渋滞解消や広域的な幹線道路等の整備促進について、関係機関に要望してまいります。

 上下水道事業については、経営戦略に掲げる安全・確実な水道サービスの継続を目指すとともに、「下水道ストックマネジメント計画」に基づき、持続的な上下水道機能の確保とライフサイクルコストの低減に取り組んでまいります。

 

8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」

 最後に、基本目標8「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち」に関してであります。

 男女共同参画社会の推進については、上十三・十和田湖広域定住自立圏で連携した研修会を開催するなど、「第3次男女共同参画社会推進計画」に基づき、すべての人が個人として尊重され、個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりに努めてまいります。

 行政改革の推進については、「第4次行政改革大綱」の最終年度となりますことから、その取組を着実に進めるとともに、令和7年度を初年度とする「第5次行政改革大綱」の策定に取り組んでまいります。

 さらに、外部評価を含めた事務事業評価の実施により、効果的かつ成果重視の市政運営に努めてまいります。

 

令和6年度の財政見通し並びに予算の概要

 次に、令和6年度の財政見通しについてであります。

 令和6年度の予算編成に当たっては、繰り返しとなりますが、人口減少の克服を最重点課題とし、選択と集中により事業の重点化を図りました。

 この結果、一般会計予算の歳入歳出総額は、前年度比13%増の381億9,000万円となり、財政調整基金からの繰入額は、前年度から852万6,000円増の18億8,731万7,000円となりました。

 また、地方債残高は、令和6年度末において、343億1,323万5,000円の見込みとなっております。

 予算総額が大きく増となりますが、これは、市営住宅整備及び国民スポーツ大会等に向けた施設整備に要する経費を見込んだものであります。

 

おわりに

 今後も、人口減少や少子高齢化の進行に加え、物価高騰の影響に伴う経済活動の停滞等、引き続き、困難な状況が続くことが予想されますが、先人から受け継いできた多彩な地域資源を存分に活かしながら、市民との協働によるまちづくりに取り組み、多くの方々に「十和田市に住んで良かった」そう強く支持されるよう、将来にわたり持続可能な魅力あるまちづくりを力強く進めてまいります。

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