令和5年度 施政方針

 令和5年第1回十和田市議会定例会(2月24日開会)において、小山田市長が令和5年度の施政方針を述べました。

 

  • はじめに
  • 国及び当市の現状
  • 令和5年度の主要施策
  • 市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
  • 1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」
  • 2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」
  • 3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」
  • 4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」
  • 5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」
  • 6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」
  • 7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」
  • 8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」
  • 令和5年度の財政見通し並びに予算の概要
  • おわりに

 

※ 施政方針とは

  市長の市政運営に対する基本的な考え方や主要な施策などについて述べたものです。

※ 本文書は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干変更があります。

 

はじめに

 令和5年第1回十和田市議会定例会の開会に当たり、所信の一端並びに市政運営の基本方針を申し述べます。

 私が、市長に就任して、今年で15年の節目を迎えることとなりました。この間、議員各位をはじめ、市民の皆様からのご支援とご協力を賜りながら、「元気な十和田市づくり」に誠心誠意取り組んでまいりました。引き続き、SDGsの理念を踏まえながら持続可能な発展を目指し、強い使命感を持って各種施策を積極的に展開してまいる所存でございます。

 

国及び当市の現状

 さて、依然として終息が見通せない新型コロナウイルス感染症に加え、電力・ガス等の燃料や食料品等の物価高騰が、市民生活や経済活動に多大な影響を与える中、本市においては、これまで感染防止対策や物価高騰対策をはじめとする経済支援等について総額45億円以上の取組を実施してまいりました。

 また、昨年5月に発生した法量地区の林野火災では、約27haが焼失し、8月の豪雨では住家や農作物、農業施設等に被害をもたらしたところでありますが、迅速な応急対策により被害の拡大を抑えるとともに、現在、復旧作業及び被災農業者への支援に取り組むなど、市民の命と生活を守り抜くため、できる限りの対応を行っているところでございます。

 このような状況下ではございますが、「第2次十和田市総合計画」に掲げる将来都市像「~わたしたちが創る~希望と活力あふれる 十和田」の実現に向け、令和5年度に重点的に取り組む施策についてご説明いたします。

 

令和5年度の主要施策

 来年度予算においては、引き続き人口減少の克服を市の最重点課題と捉えた上で、子育て支援や経済振興対策等による「地域活力の向上」、自然災害への対応強化等による「安全・安心の確保」、新たな日常等に応じた地域社会の実現に向けた「デジタル化の推進」の大きく3つの施策に重点的に取り組むことといたしました。

 

 まず始めに、「地域活力の向上」についてです。

 本市では、これまでも出産、子育ての希望を叶えるための各種施策に取り組んでまいりましたが、新たに新生児の聴覚検査の実施や3歳未満児の保育料を約10%引き下げるほか、妊娠期から子育て期までを通じて相談支援や経済的支援に一体的に取り組む「出産・子育て応援給付事業」により、これまで以上に子育て世帯の経済的負担の軽減を図ってまいります。

 また、市の基幹産業である農業や観光等の振興を図り、経済基盤の強化や、地域の活性化につなげてまいります。

 具体的には、農畜産物の販路拡大、「十和田ブランド」の確立、新規就農者の確保とともに、農家の経営基盤強化のための収入保険の加入促進等に取り組みます。また、蔦沼周辺の赤沼登山道の整備を行い、自然の魅力を活かした誘客を進めるほか、焼山地区の活性化を図るため、奥入瀬渓流温泉スキー場管理棟の建替工事に着手いたします。

 

 2点目は、「安全・安心の確保」です。

 豪雨・地震等の自然災害への対策に加え、地域で安心して暮らし続けることができるよう道路・橋梁の強靭化にも取り組んでまいります。

 また、本年8月には、昨年中止となりました青森県総合防災訓練が改めて本市で開催されることから、関係機関との連携を確認し、防災意識の高揚を図るほか、大雨に備え市内各所に土のうステーションを設置し、浸水被害の軽減に努めてまいります。

 あわせて、老朽化した市営住宅の建替を進めるほか、市内を運行しております市街地循環バス等につきましては、増便によりこれまで以上に利便性を向上させ、市民の皆様の交通手段の確保に努めてまいります。

 

 3点目は、「デジタル化の推進」です。

 コロナ禍のもと、デジタル技術を活用した新たな日常・働き方への対応が求められている中、本市においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組を推進するため、今年度末までに策定する「DX推進ビジョン」に基づき、市民の利便性向上につながる取組を進めてまいります。

 具体的には、本年3月からマイナンバーカードを利用して、コンビニエンスストア等で住民票等の各種証明書が取得可能となるほか、来年度には、新たにスマートフォン等から双方向で情報収集や行政手続きが可能となるLINEを活用したシステムやGPS除雪管理システムの導入、スマートウォッチ等のウェアラブル機器を活用した介護予防事業の実施、さらには事業者のデジタル環境整備への支援等に取り組むこととしております。

 このほか、国が掲げるデジタル田園都市国家構想総合戦略に基づき、誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、市のまち・ひと・しごと総合戦略の改訂を進めてまいります。

 

 以上、重点的に取り組む施策について申し述べましたが、その他の施策につきましては、「第2次十和田市総合計画」に掲げる基本目標に沿ってご説明いたします。

 

 

市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」

 まず、基本目標1「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち」に関してであります。

 とわだ産品の販売拡大については、新たに10月29日を「十和田にんにくの日」としPRイベントを行うなど、本市の農産物の特徴を活かした付加価値の高い商品づくりや、ブランドイメージの定着を図るほか、販路の開拓や拡大に取り組む事業者への支援を行います。

 また、児童・生徒自らが弁当を作る「弁当の日」の取組を支援することで、健やかな食生活づくりを推進するとともに、本市の農産物への関心に繋げてまいります。

 畜産の振興については、肉用牛の主産地づくり推進のため、引き続き、肉用牛のゲノミック育種価に基づいた優良雌子牛の地域内保留を促進するとともに、家畜防疫対策に努めてまいります。

 林業の振興については、航空レーザー計測及び森林資源の解析を実施し、計画的な森林整備を進めてまいります。

 観光力の強化と充実については、一般社団法人十和田奥入瀬観光機構と連携し、効果的なプロモーションや新たな観光メニューの開発、事業者支援等に取り組んでまいります。

 また、国立公園満喫プロジェクト及び奥入瀬ビジョンに基づき、観光客の上質な滞在環境の創出、冬季利用の促進等、自然の魅力を活かした選ばれる観光地域づくりを進めてまいります。

 十和田市現代美術館では、アートによるまちづくりの取組の一環として、県内に立地する美術館とともに5館連携の取組を進めてまいります。

 商業の振興及び雇用の安定については、アフターコロナを見据えながら、国、県、関係機関等と連携して、市内経済活動の維持・促進に取り組んでまいります。

 中心市街地の活性化については、地域交流センター「とわふる」の利活用促進を図るなど、官民一体となってにぎわいと魅力のある中心市街地づくりに取り組んでまいります。

 

2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」

 次に、基本目標2「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち」に関してであります。

 子どもを産み育てられる環境づくりについては、とわだde子育て応援ギフト券の給付事業や子ども医療費の助成等を通じ、妊娠期から子育て期までの切れ目のない子育て支援の充実を図ってまいります。

 学校教育の充実については、学習指導要領に基づき、未来を創造する資質・能力を備えた児童・生徒の育成を目指し、「授業」「心の教育」「キャリア教育」の充実を図ってまいります。また、ICT支援員の増員や特別支援教育支援員の配置、さらにはいじめ・不登校に対する教育相談の充実により、夢・希望・志を育む特色ある学校づくりを推進してまいります。

 小・中学校施設及び設備については、経年劣化の状況に応じて改修等を行い、教育環境の充実に努めてまいります。

 

3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」

 次に、基本目標3「すべての市民が健やかに暮らせるまち」に関してであります。

 健康づくりの推進については、健診等を受けやすい体制づくりに努めるとともに、ヘルスリテラシーを高めるための健康教育を継続してまいります。また、働き盛り世代の糖尿病予防対策に取り組んでまいります。

 自殺の予防については、生活困窮者等に対する相談体制の強化やゲートキーパーの養成により、様々な悩みを持つ人に気づき、支援できる人材の育成に取り組んでまいります。

 地域医療の推進については、青森県地域医療構想を踏まえた「公立病院経営強化プラン」の策定に取り組むとともに、地域医療の機能分担及び業務の連携を推進し、医療の質の向上と病院経営の健全化を図るほか、地域医療支援病院として、医療・福祉・介護等の連携を進め、上十三医療圏における効率的な医療提供体制の確保に係る中心的な役割を果たしてまいります。また、関連大学や県等への働きかけを強化し、医師の確保に努めてまいります。

 高齢者福祉の充実については、「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」を策定するとともに、関係機関との連携、協働のもと、高齢者の自立支援と介護予防、要介護状態の重度化防止に取り組んでまいります。

 国民健康保険事業及び後期高齢者医療事業については、糖尿病性腎症重症化予防事業や高齢者の保健事業と介護予防に一体的に取り組むフレイル予防事業を実施し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を図ってまいります。

 障がい者福祉の充実については、医療的ケア児が適切な支援を受けられるよう、保健、医療、障害福祉、保育、教育等の各分野の連携強化を図ってまいります。 

社会保障の充実については、生活困窮者等の早期自立に繋がるよう、個々の状況に応じた就労支援に努めてまいります。

 

4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」

 次に、基本目標4「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち」に関してであります。

 生涯学習の推進については、市民カレッジ事業の充実を図るなど市民の生涯にわたる多様な「学び」を支援し、活力ある地域社会の創造を目指してまいります。

 また、市民図書館においては、資料の充実を図り、読書活動の推進に積極的に取り組むとともに、地域の知の拠点としての役割を果たしてまいります。

 文化の振興については、発表・鑑賞機会の充実を図り、文化芸術活動を支援するとともに、文化遺産の保存・継承及び活用に努めてまいります。

 スポーツ活動の充実については、4月に開館予定の新志道館において多くの市民に武道やスポーツに親しんでいただくなど、引き続き、市民が暮らしの一部としてスポーツが楽しめる環境の整備に努めてまいります。

 

5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」

 次に、基本目標5「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち」に関してであります。

 防災体制については、平時はもとより特に有事の際における情報発信の充実に努めるなど、地域防災力の強化を通じて、市民の安全と安心を確保してまいります。

 消防団活動については、消防屯所や消防団車両等の更新を計画的に進めてまいります。

 安全・安心な暮らしの確保については、市民や関係機関等との協働により事故やけがの予防対策に継続して取り組むとともに、4回目となるセーフコミュニティの認証取得を目指してまいります。

 広域自治組織の育成については、多様化・複雑化する地域課題に対応するため、概ね小学校区を単位とした広域コミュニティ活動の活性化を図るとともに、新たな地域での組織化を進めてまいります。

 移住・定住人口の拡大については、住宅取得や引っ越し等に対する支援を拡充するほか、効果的な移住情報の発信や移住体験の企画・運営等により、移住に係る取組を強化してまいります。

 出会い・結婚支援については、県や他市町村等と共同で運営するマッチングシステムの活用や圏域での婚活イベントの開催のほか、新たに結婚式等の費用を補助するウェディングメモリアル事業に取り組むなど、新婚世帯に対する支援の拡充を図ってまいります。 

空き家対策の推進については、「第2次空家等対策計画」を策定し、空き家等の適正管理、有効活用を促進するほか、解体に対する補助を行うことで、空き家の解消に努めてまいります。 

 消費生活の安全・安心の確保については、消費生活センターにおいて、消費者被害の未然防止や消費者意識の醸成・向上を図ってまいります。

 

6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」

 次に、基本目標6「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち」に関してであります。

 生活環境の充実については、「みどりの管理計画」に基づき、都市公園、保全地区等の適切な維持管理に努めてまいります。

 ごみ処理の適正化については、「第4次ごみ減量行動計画」に基づき、市民・事業者・行政が協働でごみ発生の抑制やバイオマスを活用した生ごみの減量事業等に取り組み、循環型社会の形成に努めてまいります。

 

7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」

 次に、基本目標7「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち」に関してであります。

 (仮称)市営住宅北園団地・瀬戸山団地については、令和6年度の完成を目指して取組を進めてまいります。

 合葬墓については、令和6年度の供用開始に向け、整備を進め、新たな墓地需要に対応してまいります。

 公共交通網の整備については、公共交通の拠点となるまちなか交通広場を有効活用するとともに、今年度末までに策定する新たな交通計画に基づき、地域の特性に応じた交通手段を組み合わせることで、公共交通を維持し、「市民の足」の確保を図ってまいります。 

道路及び橋梁については、「国土強靭化地域計画」に基づき、防災・減災対策に取り組み、適正な維持管理と長寿命化を図ってまいります。また、主要地方道三沢十和田線の渋滞解消や広域的な幹線道路等の整備促進について、引き続き、関係機関に要望してまいります。 

 上下水道事業については、今年度改定した経営戦略に基づき、事業の効率化に取り組み「安全・確実な水道サービスの継続」を目指すとともに、「下水道ストックマネジメント計画」に基づき、「快適な暮らしの実現と水環境を守る下水道」を基本理念とした持続的な上下水道機能の確保とライフラインコストの低減に取り組んでまいります。

 

8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」

 最後に、基本目標8「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち」に関してであります。

 男女共同参画社会の推進については、新たに上十三・十和田湖広域定住自立圏で連携して取り組むなど、引き続き「第3次男女共同参画社会推進計画」に基づき、すべての人が個人として尊重され、個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりに努めてまいります。

 行政改革の推進については、「第4次行政改革大綱」に基づく取組を継続的に進め、持続可能な行政運営に努めてまいります。

 また、死亡届提出後の手続きを集約して行う「おくやみコーナー」を新たに開設し、より質の高い市民サービスの提供を図ってまいります。

 さらに、外部評価を含めた事務事業評価の実施により、成果重視の市政運営に努めてまいります。

 

令和5年度の財政見通し並びに予算の概要

 次に、令和5年度の財政見通しについてであります。

 令和5年度の予算編成に当たっては、繰り返しとなりますが、人口減少の克服を最重点課題とし、将来にわたって健全で持続可能な行財政運営を行うため、選択と集中により事業の重点化を図りました。

 この結果、一般会計予算の歳入歳出総額は、前年度比0.3%減の337億9,000万円となり、財政調整基金からの繰入額は、前年度から約5億9,000万円増の18億7,879万1,000円となりました。

 また、地方債残高は、令和5年度末において、333億7,714万8,000円の見込みとなっております。

 

おわりに

 今後も、人口減少や少子高齢化の進行に加えて、物価高騰の影響に伴う経済活動の停滞や、社会保障関連経費の増大が見込まれますが、本市の多彩な地域資源を存分に生かしながら、市民との協働によるまちづくりに取り組み、多くの方々に「十和田市に住んで良かった」、「このまちに住み続けたい」、そう強く支持されるよう、将来にわたり持続可能な魅力あるまちづくりを力強く進めてまいります。 

この記事へのお問い合わせ
秘書課 秘書係
先頭へ ホーム