令和7年度 施政方針

 令和7年第1回十和田市議会定例会(2月25日開会)において、櫻田市長が令和7年度の施政方針を述べました。

 

  • はじめに
  • 4本の政策的柱
  • 令和7年度の主要施策
  • 市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
  • 1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」
  • 2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」
  • 3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」
  • 4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」
  • 5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」
  • 6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」
  • 7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」
  • 8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」
  • 令和7年度の財政見通し並びに予算の概要
  • おわりに

 

※ 施政方針とは

  市長の市政運営に対する基本的な考え方や主要な施策などについて述べたものです。

※ 本文書は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干変更があります。

 

はじめに

 令和7年第1回十和田市議会定例会の開会に当たり、所信の一端並びに市政運営の基本方針を申し述べます。


 私は、先の十和田市長選挙において、市民の皆様の温かいご支援を賜り、市長として市政の舵取りを担わせていただくことになりました。改めて、この職責の重さに身が引き締まる思いであり、市民の皆様からのご期待にお応えできるよう議員の皆様と協力し合い、対話を重ねながら、しっかりと取り組んでいかなければならないと決意を新たにしております。
 また、これまでの市政運営において、様々な課題に真摯に取り組み、本市の発展にご尽力されてきた、歴代の市長並びに議員の皆様に敬意と感謝を申し上げますとともに、本市の礎を築いた先人たちの英知とご尽力に対しても深く敬意を表するところです。
 私は、これまで十和田市議会議員を3期8年間務め、また、令和5年1月からの2年間は市議会副議長の職を担わせていただきました。これからは市長という立場で、市民の思いを形にするため、4年間全身全霊をかけて市政運営に取り組んでまいります。

 

4本の政策的柱

 十和田市が今後も持続可能で安全安心なまちであるため、私は「期待ふくらむ!笑顔あふれるまちづくり!」をスローガンとし、その実現のために「子どもたちの笑顔」、「働く人たちの笑顔」、「高齢者の笑顔」、「ひとりひとりの笑顔」の4本の政策的柱を掲げました。


 第1の柱は「子どもたちの笑顔」です。
 子どもに係る政策を1番目に挙げたのは、未来を担う子どもたちの笑顔のため「子どもの幸せとは何か」を追求し、十和田市に「生まれてよかった」、「住んでよかった」と思えるまちをつくってまいりたいと真に願っているからです。
 そこで、本市の子どもたちを保護者、家族のみならず、地域全体で育てていくため、子どものための政策を、最重要課題として取り組んでまいります。
具体的には、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援をするため、子育て費用の負担軽減や子どもの居場所づくり、見守り支援などに取り組み、子どもとその家族が安心して生活できるよう、更なる子育て支援の充実を図ってまいります。


 第2の柱は「働く人たちの笑顔」です。
 私は、地域を支える働く人達が笑顔になれることが、地域の活力につながるものと考えております。
 そこで、本市の基幹産業である農業、観光業をはじめ、働く場所の確保や働きやすい環境をつくり、仕事を通じて市民一人ひとりがやりがいを感じられるまちをつくってまいります。
 具体的には、安定した雇用のため、関係機関と協力し、新卒者やUIJターンを希望する方の就業を支援してまいります。
 また、観光業の振興については、十和田湖畔休屋地区が国立公園における滞在体験の魅力向上先端モデル事業に選定されたことを受け、関係機関や地域と連携し、感動体験を提供する宿泊施設の誘致に努めるとともに、持続的な観光地域づくりのため、観光DXを推進してまいります。
 さらに、企業誘致や更なる雇用創出のため、地域間を繋ぐ高規格道路や重要物流道路の整備・強化が重要と考えておりますので、関係自治体と連携・協力し、国、県、関係機関等に整備促進について要望を行ってまいります。


 第3の柱は「高齢者の笑顔」です。
これまで申し上げてまいりました子どもや働く人が笑顔になれるまちづくりには、人生の先輩である高齢者の方々がこれまで培ってきた知識、経験を生かしていただくことが重要であると考えております。
 そこで、高齢者が地域社会の一員として、繋がりを実感でき、生き生きとした生活を送ることができるまちづくりに取り組んでまいります。
具体的には、高齢者が健康的で安心な生活を送るため、関係機関等との連携を図るほか、日常生活での移動に制約を抱えている方を支援するため、市街地循環バス等の運行により「市民の足」の維持・充実に取り組んでまいります。
 また、定期予防接種となった帯状疱疹ワクチンについては、着実に接種事業を実施してまいります。
 さらに、介護保険事業については、令和9年度開始となる「第10期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」の策定の際は、利用者や現場の声を反映させ、介護保険事業を充実させてまいります。


 第4の柱は「ひとりひとりの笑顔」です。
 地域コミュニティに参加する方々が高齢となり関わる地域住民が少なくなる中、地域の結びつきが今後さらに重要になるものと考えております。
 そこで、市民一人ひとりが将来にわたって笑顔であり続けるために、市民の皆様がそれぞれの分野で活躍することができる魅力的なまちづくりに取り組んでまいります。
 具体的には、市民が主体となって取り組んでいただくため、地域コミュニティや町内会活動を支援するほか、本市の伝統や文化といった地域資源の継承に努めてまいります。
 また、安全安心なまちづくりを推進するため、関係機関、関係団体と連携し、地域防災力の強化に努めてまいります。
 さらに、デジタル技術を活用し市民の利便性の向上を図るとともに、行政サービスの更なる効率化に取り組みます。


 以上、私の政策的柱に関して、特にお伝えしたい事項について申し述べましたが、令和7年度当初予算においては、予算の大枠は小山田前市政を継承し、必要なものは補正で対応するなど、引き続き「第2次十和田市総合計画」に掲げる将来都市像「~わたしたちが創る~希望と活力あふれる 十和田」の実現に向け、本市が将来にわたって持続的な発展を達成できるよう、人口減少の克服の視点をもって各種施策に取り組んでまいります。

 

令和7年度の主要施策

 それでは、令和7年度に重点的に取り組む施策について、ご説明いたします。
 

 始めに、本市の最上位計画である「第2次十和田市総合計画」については、令和8年度末に終了となることから、令和9年度を初年度とする次期総合計画の策定に着手し、本市の将来都市像などについて検討してまいります。
 次に、移住・定住人口の拡大については、住宅取得等の支援を継続するとともに、移住・定住情報の発信の更なる充実を図ってまいります。
 出会い・結婚支援については、県等と共同で運営するマッチングシステムの利用支援の強化や新婚世帯への経済的支援に継続的に取り組んでまいります。
 そして、昨今のエネルギー・食料品価格等の物価高騰に対応するため、国の交付金を活用し、生活者支援、経済活性化を目指し「市民応援券発行事業」に取り組むこととし、市内の店舗等で利用ができる市民一人4,000円の商品券を各家庭に送付いたします。
 さらに、令和8年に本県で開催される第80回国民スポーツ大会及び第25回全国障害者スポーツ大会に向け、現在、スポーツ・生涯学習課内に設置している国スポ・障スポ大会準備室を、市長部局に移管し、令和7年4月から国スポ・障スポ大会推進課へ昇格させ、十和田市一丸となって取り組んでまいります。また、会場の一つである総合体育センターの改修工事を着実に実施してまいります。
 このほか、私が特に力を注ぎたい子育て支援事業として、子どもの居場所・見守り支援の促進のため、子どもたちが天候に左右されることなく楽しく遊ぶことができ、子育て世帯が気軽に交流できる屋内の遊び場「キッズパーク事業」や、また、子どもの遊び場や見守りを兼ねた居場所を提供する団体等に対し、その運営に要する経費を支援する新たな補助制度を創設いたします。

 

 以上、重点的に取り組む施策について申し述べましたが、その他の施策につきましては、「第2次十和田市総合計画」に掲げる基本目標に沿ってご説明いたします。

 

市の主要施策 十和田市総合計画の基本目標別
1.「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち(産業振興)」

 まず、基本目標1「市内外からより多くの人々や消費を呼び込めるまち」に関してです。
 観光力の強化と充実については、一般社団法人十和田奥入瀬観光機構と連携し、効果的なプロモーションや新たな観光メニューの開発等に取り組んでまいります。
 とわだ産品の販売拡大については、本市の農産物を活かした商品づくりを支援するとともに、県外イベント等への出店支援や関東での消費宣伝活動、様々な機会を捉えたにんにく等のPRを通じて、認知度を高め消費を増やす取組を行ってまいります。
 農業の振興については、担い手不足の解消を図るため、本市で農業を始める新規就農者への支援策として、認定新規就農者支援事業を新設するほか、新規就農者農業機械等導入支援事業の拡充を行ってまいります。
 また、労働力不足解消のため、農作業の省力化に有効なスマート農業技術の導入を促進してまいります。
 畜産の振興については、新たに市場に出荷する肉用子牛のワクチン接種の支援を行うとともに、家畜防疫対策に努めてまいります。
 林業の振興については、森林経営管理制度に基づく森林整備に向けた意向調査及び経営管理権集積計画の策定を進めるなど、再造林及び森林環境の整備を促進してまいります。
 商業・サービス業の振興については、国、県、関係団体等と連携し、にぎわいの創出や魅力のある中心市街地づくりに取り組むとともに、経済活動の維持・促進に取り組んでまいります。

 

2.「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち(子育て・教育)」

 次に、基本目標2「地域全体で子育て・子育ちをしっかりと支えるまち」に関してです。
 子どもを産み育てられる環境づくりについては、これまでの成果や国・県の指針等を踏まえた「第3期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、子育て支援の更なる充実を図ってまいります。
 妊産婦に対しては、妊婦健診に要する交通費に加え宿泊費の一部を助成し、出産後のサポートとして、新たに宿泊型による産後ケアを実施いたします。また、子どもの養育に不安を抱える家庭に対しては、家事支援等を行う子育て世帯訪問支援事業、親子の関係構築を促すための親子関係形成事業に取り組み、こども家庭センターを中心に安心して子どもを産み育てられる環境づくりに努めてまいります。
 学校教育の充実については、アシスタントティーチャーの配置や1人1台端末の更新等により、個別最適な学びの充実を図ってまいります。また、いじめ・不登校に対する教育相談の充実に加え、特別支援教育支援員の配置により、児童・生徒へのきめ細やかな対応に努めてまいります。さらに、キャリア教育推進事業を継続し、特色ある学校づくりを推進してまいります。
 小・中学校施設及び設備については、引き続き、ちとせ小学校の改築に向けて取り組むほか、経年劣化の状況に応じて各校の改修等を行い、教育環境の充実に努めてまいります。

 

3.「すべての市民が健やかに暮らせるまち(健康・福祉)」

 次に、基本目標3「すべての市民が健やかに暮らせるまち」に関してです。
 健康づくりの推進については、「第3次健康とわだ21」に基づき、各種健診の受診勧奨の強化や70歳以上の5大がん検診の全てを無料化し、受診率向上に努めるとともに、ヘルスリテラシーを高めるための保健事業やこころの健康づくりに取り組んでまいります。また、楽しみながら健康づくりに取り組むことができる健康アプリ「とわ歩゜(ぽ)」を活用し、健康意識の向上と継続した健康づくり、生活習慣病の予防を図ってまいります。
 病院事業については、青森県地域医療構想を踏まえた「市立中央病院経営強化プラン」に基づき、医療・福祉・介護等の連携を深め、地域医療支援病院として、上十三医療圏における効率的な医療提供体制の中心的な役割を担うとともに、病院経営の健全化に取り組んでまいります。
 高齢者福祉の充実については、「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、関係機関との連携、協働のもと、高齢者の介護予防、認知症施策、介護者支援に取り組んでまいります。
 国民健康保険事業については、特定健康診査未受診者対策やがん検診無償化事業等の保健事業の充実に努めてまいります。また、後期高齢者医療事業では、フレイル予防対策を推進し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を図ってまいります。
 障がい者福祉の推進については、「第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画」に基づき、保健、医療、福祉、保育、教育等の各分野の連携強化を図ってまいります。また、生活困窮者等の早期自立に繋がるよう、個々の状況に応じた支援が行えるように努めてまいります。

 

4.「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち(生涯学習・文化・スポーツ)」

 次に、基本目標4「だれもが楽しく学び、豊かな心と文化が息づくまち」に関してです。
 生涯学習の推進については、幅広い年代における生涯を通じた「学び」を支援するとともに、多様な体験活動を通じて、地域を創る社会教育に取り組んでまいります。
 文化の振興については、市史編さん室を新設し、市史編さんの取組体制を強化するとともに、文化芸術活動の発表・鑑賞機会の充実と、文化遺産の保存・継承及び活用に努めてまいります。

 

5.「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち(安全・安心)」

 次に、基本目標5「地域で助け合い、災害に強く犯罪のない、安全・安心なまち」に関してです。
 防災体制については、情報発信の充実・強化を図るとともに、自主防災組織の設立等による地域防災力の強化を通じて、市民の安全と安心を確保してまいります。
 消防団活動については、団員の確保に加え、消防屯所や消防団車両等の整備を計画的に進めてまいります。
 安全・安心な暮らしの確保については、昨年4回目の国際認証を取得したセーフコミュニティを推進するために、引き続き、市民や関係機関等との協働により事故やけがの予防対策に継続して取り組んでまいります。また、犯罪の被害に遭われた方が再び安心して暮らすことができるよう、見舞金等の支給による支援に取り組んでまいります。
 広域自治組織の育成については、多様化・複雑化する地域課題に対応するため、広域コミュニティ活動の活性化を図るとともに、新たな小学校区等での組織化を進めてまいります。
 空き家対策の推進については、「第2次空家等対策計画」に基づき、空き家等の適正管理、有効活用のための施策を展開するほか、空き家の解体に対して補助を行い、空き家の解消に努めてまいります。

 

6.「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち(環境)」

 次に、基本目標6「ゆとりと潤いあふれる暮らしを実感できるまち」に関してです。
 都市公園、保全地区等については、生活環境の充実を図るため、「みどりの管理計画」に基づき、適切な維持管理に努めてまいります。
 地球温暖化防止対策の推進については、地球温暖化対策実行計画に基づき、市民、事業者と一体となった取組を進め、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指してまいります。
 ごみ処理の適正化については、「第5次ごみ減量行動計画」に基づき、市民、事業者及び行政の協働により、ごみ発生の抑制やバイオマスを活用した生ごみの減量等に取り組み、循環型社会の形成に努めてまいります。

 

7.「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち(都市基盤)」

 次に、基本目標7「快適な暮らしや活発な経済活動を支える都市基盤が整ったまち」に関してです。
 道路及び橋梁については、「国土強靭化地域計画」に基づき、防災・減災対策に取り組み、適正な維持管理と長寿命化を図ってまいります。
 上下水道事業については、人口減少や節水型社会への移行により、収益が減少傾向にある中で、安全・確実な上下水道サービスの継続を目指すため、「上下水道事業経営戦略」に基づき、持続的な機能確保とライフサイクルコストの低減に取り組んでまいります。

 

8.「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち(自治体経営)」

 最後に、基本目標8「地域経済社会の持続的な発展を支える強固な経営基盤が確立したまち」に関してです。
 男女共同参画社会の推進については、「第3次男女共同参画社会推進計画」に基づき、すべての人が個人として尊重され、個性と能力を十分に発揮することができる環境づくりに努めてまいります。
 行政改革の推進については、引き続き、行政組織の見直しや職員の資質向上に努め、多様化・高度化する市民ニーズに対応できるよう、費用対効果を踏まえた行政運営に努めてまいります。
 また、第三者による外部評価を含めた事務事業評価を実施し、効果的かつ成果重視の市政運営に努めてまいります。

 

令和7年度の財政見通し並びに予算の概要

 次に、令和7年度の財政見通しについてです。
 令和7年度予算においては、「市民応援券発行事業」などの国・県の補助金等を活用した事業や、企業立地奨励金の交付に加え、人件費や物価高騰による各種経費の増加により、一般会計予算の歳入歳出総額は、前年度比3%増の394億1,000万円で、過去最大の予算規模となりました。財政調整基金からの繰入額は、前年度から3,503万5,000円増の19億2,235万2,000円です。
 また、地方債残高は、令和7年度末において、344億2,664万7,000円の見込みとなっております。

 

おわりに

 結びとなりますが、「期待ふくらむ!笑顔あふれるまちづくり!」の実現に向け、持続可能な十和田市の発展を目指し、魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。
 市民の皆様、そして議員の皆様に一層のご理解とご支援を心からお願い申し上げ、私の所信の一端とさせていただきます。

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